スキップしてメイン コンテンツに移動

脳炎について

脳炎については既にインターネット上で多くの情報が公開されていますので、ここでは特に記載しません。
ただ私が経験したこととそれらの情報は必ずしも一致するものばかりではなかったため、個人的に感じたことを残しておきたいと思います。

素人考えになりますが、色々なお医者様より話を聞いているとそもそもこの分類自体が正しいものなのかどうか疑問が残ります。主な根拠は下記です。

+ 一般的に壊死性脳炎 (NME) は大脳皮質から病変が始まり徐々に脳幹部に広がるとされているが、はるさんの場合は脳幹部に病変があり発症から 1 年以上経っても画像上では大脳に病変は見つからなかった。大学病院の診断でも画像上の炎症の場所を根拠に (恐らく炎症の形状からも判断しているのだとは思いますが) 9 割方、肉芽腫性髄膜脳脊髄炎 (GME) との診断を受けた。

+ 壊死性髄膜脳炎 (NME) の場合は MRI の画像上、大脳などに壊死 (黒い穴) が見つかることも根拠になると思うが、はるさんの場合はそういった形跡はなかった。 (小脳の萎縮はあり)

+ 壊死性脳炎 (NME) の判断基準の 1 つとなる抗アストロサイト自己抗体は陽性だったが、主治医の先生曰く肉芽腫性髄膜脳脊髄炎 (GME) でも陽性の場合もあれば壊死性脳炎 (NME) でも陰性の場合もあるとのこと。


つまり炎症の発生場所も、MRI の画像も、CSF (脳脊髄液の検査) も診断の当てにはなりません。こうも一般的な情報と違うと、実はこの分類方法自体が曖昧なのではとも思えてきます。

例えば壊死性髄膜脳炎 (NME) を調べるとパグ脳炎と一緒に扱われていて、実例だと炎症の発生箇所も一貫性がなく、発症から致死までの期間も数日〜数週間もしくは数年など大きな乖離があるように思います。壊死性髄膜脳炎 (NME) 、肉芽腫性髄膜脳脊髄炎 (GME) は同じ非感染性の MUO (起源不明の髄膜脳脊髄炎) として説明されていますが、例えばこれが感染性のウィルス由来と仮定すると納得できる点もあったりと、本当にこの分類方法に拠った認識や対応をする意味はあるのかなと改めて思ってしまいます。

主治医の先生に聞いた話では、脳炎で亡くなった子の脳組織を死亡後に採取して各種のサイトカインの反応を見るなどを相当数実施しないと正確な診断や分類は難しいとのことですが、まず亡くなった子の検死自体わんさんでは稀なことであることと、サイトカイン自体が高額なため一般的な病院では現実的に実施が難しいことから、この分野の研究は今後もあまり進まないのではとのことでした。

唯一可能と思われる研究機関である大学病院の診断でさえ上記の通りです。自分が日本で一番最初にわんさんの開頭手術をしたと豪語する病院の獣医師でもプレドニゾロンしか処方できません。そういう病気なのです。

また主治医の先生の経験則では、低用量のプレドニゾロンでコントロールできるケースとできないケースは、割と初期 (2 ヶ月程度) に分かれる傾向も見られるとのことでした。
はるさんの場合、2018 年 3 月に入ってから神経症状が悪化した段階で 2mg/kg のプレドニゾロンを投与を開始しましたが、症状は更に悪化する一途でした。その後もプレドニゾロンを減量すると発作が増えるなどの事実もあったので、確かに全く効果がなかったとは言えないのですが、脳炎の症状が発生する間隔が服用前と変わらなかったり、量を増やしても発作の頻度も減らなかったりと、容量の割にすごく効いたなと感じたことはありませんでした。

確かにインターネットで情報を公開されているわんさんでプレドニゾロンの減量に成功しているケースでは、はるさんよりはるかに少ない投与量でも最初のプレドニゾロンの投与以降はほとんど大きな神経症状はないように思います。 (ほかにも発症年齢 (5 歳以上など遅め) なども関係しているかもしれませんが) また、圧倒的に肉芽腫性髄膜脳脊髄炎 (GME) と診断されたケースが多いです。主治医の先生の認識でも、肉芽腫性髄膜脳脊髄炎 (GME) の場合は寛解状態で長生きしてくれるケースが多いとのことです。

でも、大事なのは病気の分類ではありません。ご自分の愛犬が脳炎と診断された時にインターネット等で検索すると、原因不明の不治の病で数日〜数年以内になくなってしまうという情報を見てきっと慌ててしまうと思いますが、壊死性髄膜脳炎 (NME)、肉芽腫性髄膜脳脊髄炎 (GME) などの診断名で将来を悲観するのではなく、わんさんの状態をよく観察すること、いち早く情報を集めて病気自体を抑制する、もしくは身体機能の維持に有効であることが期待される薬やサプリ、環境を根気よく見つけてあげることが大事です。


コメント