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お世話について

毎日のお世話

我が家の 1 日は、特に発作が起きてからの 1 年半の間は毎日下記のようなスケジュールでした。
はるさんのかわいさがなければとても乗り越えられませんでしたが、もっといつまでもお世話したかったです。

時刻お世話内容
4:30胃薬など空腹時の服用が必要な漢方や薬が複数あるため、朝ごはんまでに 30 分間隔で服用。
5:00転んで頻繁に目を傷つけていたため、朝晩に 10 分間隔で 3 種類の目薬。
6:00朝ごはん。30 種類以上の薬とサプリを朝ごはんと一緒に食べる。ご飯は長い時で 1 時間ほど、短い時で 20 分ほど。
7:00朝の仕度と部屋の掃除。
8:00出社。
〜10:30夜は苦しそうでほとんど眠れないため午前中は大事な睡眠時間。
14:003 回/day の抗てんかん薬の服用。
16:30胃薬など空腹時の服用が必要な漢方や薬が複数あるため、夕ごはんまでに 30 分間隔でお薬をあげる。
19:00帰宅後すぐに夕ごはん。15 種類以上の薬とサプリを夕ごはんと一緒にたべる。食後は汚れる顔周りのお手入れと歯磨き、目薬。
20:0030 種類以上ある薬を切ったりなど翌日分の準備。加えて漢方やサプリなどを食べやすいように丸めたりするのに 1 時間ほど。
21:00夕食後は疲れて寝てしまうが、部分発作などが起き始めるためケア。その後自分たちのご飯。
22:00発作対応で必ず 1 人ははるさんに付いているため、歯磨きやお風呂などは一人ずつ。
0:00夜は辛そうで眠れないことが多く、必要に応じて鼻詰まりなどのサポート。眠りが浅く数時間おきにおしっこなどで起きるので、そのサポート。
〜朝方てんかんの全般発作は夜中から朝方にかけてが多く、起きた場合は状況から判断して注射などの処置。

その他:
+ あげていた漢方の量が大量だったため、上記のスケジュールのうち起きていてかつ空腹のタイミングで数時間おきに漢方を食べます。
+ お水は諸事情により 1 回にあまり多くは飲めないのですが、プレドニゾロンやその他の副作用で喉は渇くため、多い時で 1 日に 50 回以上、飲む度に水を取り替えます。
+ 顔面神経の麻痺のため、何かを食べたりお水を飲む度に口周りが汚れてしまうので、都度お口を拭きます。
+ ふらつくため転んでおしっこやうんちが体にべったり付いてしまった場合は洗うか、丁寧に拭きます。

重積後のケア

重積が起きて以降は、その後のお世話をどうしていこうかとても悩みました。迷われている方もいるかと思いますので、参考までに我が家の経緯を書いておこうと思います。

我が家は共働きのため、重積発作が起きるまではかわいそうなことに 1 日 11 時間ほどずっと 1 人でお留守番でした。(このストレスも脳炎の原因だったのではと今は思います)
病気の前からはるさんの活動範囲内には 4 台のカメラを設置していたため、監視自体は可能でした。でも重積が起きた時、本人は何度も起きる部分発作に訳が分からず怪訝そうで、そのうち何度も何度も激しい全般発作を繰り返し、最後には動かなくなるその様子を急いで帰宅しながらカメラで見ていることしかできず、結局早く病院へ連れて行くことはできませんでした。

脳炎に関しては日内変動はあるものの進行はゆっくりだったので、朝晩の様子をみて翌日もしくは次のお休みに病院へ連れて行く運用でほとんど問題はありませんでしたが、発作に関してはそうもいきません。

重積発作が起きた直後から 2 週間弱は静脈点滴を繋ぎっぱなしで動かないように隔離していたため、付きっきりのお世話が必要でした。私の会社に事情を説明したところ、多様性を尊重することが会社の方針であったこと、自宅でもできるよう業務環境が整っていたことが幸いし、その間はとりあえず一緒にいることができました。
ただいくら会社がそういった方針だとしても、その事情が犬ということで実情を把握しているのは上司のみ、同僚へは家庭の事情ということで話が通っていました。あくまでもオフィス勤務が原則なため、上司も定期的に早めの復帰を促してきますし、はるさんが生きていてくれる間ずっと自宅で仕事をする訳にもいきません。

点滴が外れて発作の頻度が少し落ち着いたタイミングで、午前中に会社に行き午後のみ自宅へ帰ることにしましたが、それも長くは難しく、1 ヶ月間だけ実家の親に協力をお願いして週に 2 回、朝から晩まではるさんのお世話をお願いしました。隣県に住む少々高齢の親に毎度 80 km 以上の道を電車もしくは車で往復してもらうにも限界があり、その間にシッターさんを探しました。

はるさんの場合、発作が止まらない時には鎮静剤の筋肉注射が必要でしたが、いざ探してみると企業にシッターさんが属して活動している形態の会社では基本的に医療行為は NG で、かつ料金も 1 時間 3,000 - 3,500 円と我が家には高額でした。私の仕事の都合をなんとか付けたとして、11 時間/日、週 2 - 3 日はお願いすると 330,000 - 570,000 円。拘束時間も長いですから相応の金額は必要と思っていましたが、有事の際の注射をしてもらえないのであればそもそもあまり意味はありません。

困った末に Zehitomo というサイトに予算を記載してシッターさんを募集したところ、幸運にもお返事をもらうことができました。ご連絡いただいたシッターさんはトレーナーとしても活躍されている方で、以後 10 ヶ月はるさんのお世話をお願いすることになります。とても素晴らしい人間性とシッター能力をお持ちで、お世話その他に関して感動することはあっても、何一つ不満に思うことはありませんでした。

よその家のわんさんに注射を打つ。皮下注射ならまだしも、筋肉注射で誤って神経を傷つけてしまったら大変なことです。もちろん事前に説明はさせていただきましたが、経験もお持ちでなかったにも関わらず、はるさんが助かるのならと責任の所在を顧みず引き受けてくれたその度胸には感服します。実際に何度も注射をお願いし、そのお陰で仕事に穴を開けずに済んだことがとても有り難かったです。

お世話に関しても、はるさんの居心地がいいようにとベッドで一緒に過ごすことを快く受け入れてくださったり、なかなか時間がとれず手が回らないマッサージや温活などをはるさんにしてくれたり、何かあった時に近くの病院へすぐに行けるよう実際に下見に行ってくださっていたり、毎回その日のはるさんの様子をよくよく観察し、連絡ノートや写真や動画で細かく報告してくださったり、本当に細やかで素晴らしいお世話をしていただきました。
はるさんの具合が悪くなると元気もなくなってしまうものですが、いつも明るく温かい空気を運んでくださったお陰で笑顔になれました。それに何度も救われました。

この方に会えなかったらはるさんとの幸せな時間はだいぶ短くなっていたと思います。はるさんが亡くなった後もやりとりさせていただいていて、今でもこの方に出会えたことをはるさんに感謝しています。


はるさんが重積発作を起こした 2018 年の末頃から、家族がリモートでできる仕事を探し始めてくれました。翌年の 11 月からやっと家ではるさんのお世話をすることができるようになったため、シッターさんとは一旦お別れとなりました。その約 4 ヶ月後にはるさんは亡くなってしまいましたが、ずっとはるさんと一緒にいたい、自分たちではるさんのお世話をしたいという望みを、はるさんは最後に叶えさせてくれました。

余談

大事なのはしてあげられたことが多いか少ないかではなく、精一杯できたかどうかです。

実家にも私が家を出た後に亡くなった犬がいましたが、最後は寝たきりの状態になりました。実家の両親も共働きだったためその状態の犬を残して出掛けなければならず、休日に近所の方から昼間ずっと鳴いてたわよと教えていただいたりして、辛い思いをしていたそうです。働かなければ生活もできないのだから、そういう決断も大事なんじゃないかと親からはそれとなく何度か諭されました。その通りだと思います。私も仮に会社の理解がなく、素晴らしい獣医さんやシッターさんとの出会いもなく、どうしてもはるさんを置いて働きに出なければいけなかったら同じ決断をしなくてはいけなかったのだと思うと、改めて共働きで犬を飼うことの是非を考えさせられます。

色々な課題はあるものの、きっと最終的に問題になるのはお金のことかと思います。我が家もそうでしたし、月々の病院の薬代(そこそこ高い)、シッターさん代(高いけど仕方ない)、漢方代(これがまた高い)、カイロ代(安い) でうちの 1 ヶ月の生活費を軽く超えました。が、私自身があまりお金の管理が得意でないことも手伝って、とりあえず限界までやってみてだめだったら考えようと安易に考えていました。もちろん 1 ヶ月の収入では足りず、貯金も資産も一部切り崩すことになりました。

今振り返ってどうだったかと言うと、環境に大いに恵まれたお陰で、後悔が少ない方法を選択して来れたなと思います。幸いやりたいと思うことは全てさせてもらうことができました。
私の母が他界した際、死後に私が思い出して泣く要因になったのは、故人がいないことももちろんですが、してあげられなかったことへの後悔からが大半でした。今回も細かい後悔はもちろんありますが、恵まれた環境の中、その時その時ではるさん中心の選択をできたことは本当に幸せなことでした。

私の両親も、きっと多くの方も、その時その時にできる限りのことを愛犬にしてあげているはずです。でももし、論理的もしくは物理的には可能なのにもかかわらず、何かそれ以外の理由でわんさん中心の選択を選べなかったことに気付いた場合は、きっと後悔になると思います。後悔が多いか少ないかで、大事な人が亡くなった後の心の在り様はだいぶ違います。

同じ境遇にある方が選択に迷った際、その選択肢が現実的かどうか以外にも、自分の気持ち、わんさんの気持ちを十分に考えて、これなら後悔は最小限だぞという道を進めるといいなと思います。


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