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点滴/注射について

皮下点滴について

2017 年 9 月に食欲不振が続いた際、A 病院へ連れて行った時に行った施術は乳酸リンゲル液とビタミンの皮下点滴でした。

それまではるさんが動物病院でしてもらった処置は薬の処方と注射くらいしかなかったので、てっきり食べていない分の栄養を補給してもらっているのかと思っていたのですが、その処置は脱水を防いだものの栄養不足の処置としてはほとんど意味がありません。腎不全のわんさんもやっているように、用意があれば自宅でもできる処置です。

私が想定していたような栄養の補給は静脈注射で時間をかけて行う必要があると気づいたのは 3 ヶ月後、計 3 回の皮下点滴を経てのことでした。はるさんの体重は 2.5 kg から 1.8 kg まで落ちていました。

処置自体が適切でない訳ではないと思いますが、処置や薬を処方してもらう際はきちんと薬剤名と目的を聞くことです。聞きにくいですが、大事なわんさんのためです。迷惑な顔をされてもバカにされても、怒鳴られても聞いてください。

静脈点滴について

はるさんは 2017 年 9 月 の発症以降、1 - 2 ヶ月に一度神経症状が強く出るため、その都度手足を変えて抗炎症薬等の静脈点滴をしていました。

2018 年 3 月から 5 mg (2.5 mg/kg) という高用量のプレドニゾロンを服用していたこともあり、2018 年 10 月にてんかん発作の重積を起こした頃にはすでに副作用で組織の修復が遅くなっていて、重積の治療だけでも 10 回以上針を入れて傷ついた血管が癒着し塞がってしまい、四肢全てでルートが取りづらい状態になっていました。
その後は手の裏になり、一番最後の点滴は内ももでした。(首から何度か採血しましたが、脳炎の子はなるべく避けた方がいいそうです。)

点滴の針を何度刺してもルートが取れず、重積前までは我慢していたはるさんも、重積後は痛がって怒るようになりました。
それでも、留置針を入れる時に一緒にいてあげると声もあげずに我慢してくれるはるさん。そんないい子が怒るまで傷つけてしまった、そんなはるさんの様子は今思い出しても涙が出ます。

もうやめたいと思った頃から最期までの半年間余りは、神経の症状が最悪の状態になることはなかったため、以降は幸いにも最期を除いて点滴をすることはありませんでした。

一度癒着してしまった血管は最期まで修復されることはなく、太い血管が塞がっているため恐らく毛細血管で手足に血液が循環していたのだとは思いますが、重積以降はほぼ一日中手足がとても冷たかったです。

脳炎の子はプレドニゾロンを飲んでいる子が多いと思いますので、傷が治りにくいです。静脈点滴できる回数も限られます。どうぞそれを考慮して、治療の選択をしてあげてください。

皮下/筋肉注射について

病院が少し遠方ということもあり、重積以降は抗てんかん薬と、いつも病院でしてもらっていた免疫抑制剤の筋肉注射を自宅ですることになりました。

もしあの時、先生が自宅での注射を提案してくれていなかったら、はるさんとのその後の幸せな 1 年半はありませんでした。

はるさんの脳炎は、プレドニゾロンも含めて薬でのコントロールが効きにくいタイプの脳炎でした。抗てんかん薬も 5 種類ほど飲んでいましたが、てんかん自体が脳炎由来のため、特に全般発作には効いたと言えるものはありませんでした。

最初こそ神経の症状が現れるのは 2 ヶ月に 1 度でしたが、てんかんの重積以降はこの脳炎由来のてんかん発作を免疫抑制剤の注射で抑える必要が出てきてしまいました。免疫抑制剤を注射すると 3 - 4 日間発作が消失し、神経症状も改善されますが、5 日目あたりから発作や症状が再度出始めます。たった 3 - 4 日間ですが、それだけの期間発作を抑えてくれるのは免疫抑制剤の注射だけでした。

また、一般的にてんかんの重積発作を防ぐ方法としては座薬や点鼻があると思いますが、状況や体質により合わない場合があります。

座薬は効き始めるのが遅いのと、なかなかうまく入れることができないためにはるさんを怒らせてしまい、逆に良くないことがありました。
ミタゾラムの点鼻薬/注射も使いましたが、はるさんの場合は興奮してしまって眠れず、転倒して目を怪我したり、鎮静効果のないまま薬効が切れて、また発作が出てしまいます。
はるさんは、病院でラボナールなどの強い鎮静剤を多めに入れてもらってもなかなか寝てくれないか、すぐに覚醒してしまう体質でした。

更に点鼻に関しては処置後 5 分くらいはとても鼻が痛く、恐らくそのせいだったのだと思いますが、点鼻しようとすると嫌がって発作が起きるようになってしまいました。
そのような事由から、重積発作の防止に関してもやはりある特定の鎮静剤の筋肉注射が必要でした。


最初の頃は一人で注射するのに手が震えて、泣きながら注射をしていました。それがかえってはるさんを不安にさせるとは分かっていましたが、愛するはるさんを傷つけることが怖くて申し訳なくてたまりませんでした。

免疫抑制剤、鎮静剤、抗てんかん薬、皮下点滴と、生涯私がはるさんに刺した注射針の数は 150 本を超えました。医療廃棄物になった使用済み注射針の山を見ると、本当に本当に頑張ってくれたし、また頑張らせてしまったなと思います。

脳脊髄液の採取や点滴のために剃られた毛は生えてこず、ほぼ毎回発作の度に注射されたお尻も大きく膿んで、治るまでに時間がかかり、その大きな傷痕からもやはり最期まで毛は生えてきませんでした。


はるさんに生きていて欲しいと思う気持ちと、かわいそうだと思う気持ちは、常に一緒にありました。延命治療はしたくない主義です。どこかの時点で手放してあげるべきだったのか。

答えが見つかることはないでしょうが、はるさんは最期のその日まで、私がしたいと思ったことをその小さな体に一身に受けて、それでもなお明るくかわいく毎日を過ごしてくれました。

だから良かったという訳ではありません。ただそれが私が最後まで、はるさんに注射や点滴をしてきた理由です。もし、同じような状況や体質のわんさんのお世話をする方がいましたら、目の前のわんさんの気持ちと、ご自分の気持ちと、十分に考えて決断していただければと思います。


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